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[column]編集学校に入ったら…教室に名前がついていた。
【 教室名 】
▲ ずらり並ぶ教室札。不思議なイメージが立ち上がる名前ばかり。その数は700を越える。(ISIS館学林堂)
教室名の不思議
「初音ミク太郎」「42.195」「ポンヌキ・ハイボール」…
…な、なんだこれは、と思われるかもしれませんが、
イシス編集学校の教室にはこんなユニークな名前がつけられています。
教室名は、師範代が考えた「教室名候補」をもとに、
松岡正剛校長が編集し、ひとり一人、ネーミングします。
世界で1つのオンリーワン。
そんな教室名が、教室や師範代にどんなパワーを与えているのか、
3人にお集まりいただきました。
川畑義和さん「地涌ザナドゥ教室」
西 由江さん「蓮式パエーリャ教室」
菅野祥子さん「ポラリス・ルーチェ教室」「墨攻センダード教室」
菅野さんは2つも教室名をお持ち、一体どういうこと?
そのあたりの秘密もだんだんと明かされていきます。ではさっそくスタートしましょう。
∴‥∵ 希望がかなった ‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵ ――松岡校長にもらった教室名を見たとき、どんな印象でしたか?
川畑 自分の好きな歌や、こう取り組んでみたいという教室のイ
メージ、好きな千夜千冊を候補として提出しましたが、松岡校長に
見事にポイントでひろっていただきネーミングされました。
西 私も川畑さん同様、希望を叶えていただいた! と思いました。
教室運営に法華経の世界観を大事にしたいと思っていた私の考えを、
ズバリ言い当てていただいたと嬉しくなりました。
――5つの候補に好奇心のようなものをプラスした命名になっていますね。
菅野 子どもの頃から星を見るのが好きだったので、「ポラリス・
ルーチェ」はすぐ気に入りました。当時同僚だった先達の葛西淳子
師範代は、「東北だからかな?」と、東北人としての私を想起され
たようです。私としては、新しくもらった「墨攻センダード教室」
のほうが「東北っぽい」と感じています。「センダード」は言わず
もがな、「墨攻」も「東北っぽい」と思っているんです。
――「センダード」とは宮沢賢治の「仙台」ですね。
教室名と人の個性が重なると、ユニークなイメージの広がりがあります。
校長はそこまで計算されているのかな。教室命名、恐るべしです。
∴‥∵ 教室はザナドゥ‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵ ――川畑さんがもらった教室名は「地涌ザナドゥ教室」でした。
川畑 「地涌」は法華経の菩薩の一モデルで、仏の呼びかけに応え
て地下の虚空から地を割って湧き出す菩薩です。力を備え、待機し、
そして現れるのです。
――まるでスーパーマン。回答が届くとすぐさま指南を届け、学衆の声を
聞こえれば教室に現れる師範代は、スーパーマンっぽくもあります。
川畑 「ザナドゥ」とは、桃源郷とも訳される理想の都のことですね。
歌や映画にもなっていますよ。
【 師範代 】 ▲ 師範代がひとり一人に指南する番稽古(パーソナルコーチング)がイシスの基本。
――「地涌」と「ザナドゥ」、一見縁のない言葉が重なると、やはり、新たな
イメージが広がる。知識もイメージもあつかう「編集」のおもしろいところです。
川畑 ユートピアやパラダイスにも通じる「ザナドゥ」のイメージ。
教室は稽古の場所ですが、楽しい場所でありたいと思っています。
※英語で Xanadu(ザナドゥ)は「桃源郷」。utopia(ユートピア)、 paradise(パラダイス)、fairyland/ lotus landなどと同義。 ――これまで教室に「ザナドゥ」を感じたことってありますか?
川畑 ネット上に教室があるっていうのがまず不思議ですよね。
うまくいくのかなという不安も、師範代の元気のいいリードと、教
室のみなさんとの交わし合いで、刺激的な時間を過ごしました。仕
事や日常生活から離れ、学生に戻ってする稽古も面白かったですよ。
師範代はもちろんですが、教室のみなさんも個性と知性が、キラリ
と輝いていました。卒門(守の卒業)をして、今、あの頃を振り返
っても、充実した時間を思いだして自然に笑顔になります。そんな
稀有な体験は、とっても知のユートピアな感じがして「ザナドゥ」
な時間・場所だと感じてます。なかなかない場所だと思います。
【 教室 】 ▲ 教室では、師範代のもと10人程がエクササイズを重ねる。 互いの発想に触発され、回答から個性が光り出す。
教室は「知のユートピア」。楽しくも刺激的な教室体験をした川畑さん だから語れる言葉です。 師範代は、イシス編集学校の守・破コースを終え、花伝所でコーチング メソッドを身につけると、 この「教室」を任されます。入門から最短1年半で、 学衆が師範代にロールチェンジする。これも イシス編集学校の面白いところです。
中には1度ならず2度、3度と師範代をされる方もいます。 教室名を2つ持っている菅野さんも そのお一人。 そのお話は次回うかがうことにしましょう。
つづきをお楽しみに。
(イシス編集学校 番匠 景山和浩)