【　師範代　】 
▲　ネット越しに編集指南をしてくれる師範代が全国に７００人。職業は多様。
　　「ポリロール」でエディトリアル・コーチングを楽しんでいる。

不思議な教室名　後編

 

「教室名の不思議な力」２回目は、「墨攻センダード教室」という
名前をもらった菅野さんは、実は「ポラリス・ルーチェ教室」で
37守師範代をされました。その時のお話をまずうかがいましょう。


∴‥∵　夜明けのカワル！　‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵

――　２つの教室名をお持ちの菅野祥子さん。実は37守で師範代
を務めた時の教室名が「ポラリス・ルーチェ教室」でした。師範代
をするごとに新しい教室名をもらえるのもイシスの特徴です。

菅野　ポラリスは「北極星」。北が分かれば、東西南北どこにだ
って行けますよね。私にとってポラリスは、北を教えてくれると同
時に編集術の星でもあるんです。

――なるほど「ポラリス」は常に振り返り立ち返る道標になる星
なんですね。そして「ルーチェ」はイタリア語で「光」や「輝き」
の意味があります。

菅野　「ルーチェ」は、ポラリスに比べてイメージがちょっと抽
象的で、隠されたものや、奥にあって陽のあたらないものに光を当
てる印象です。光→朝日→夜明け→何かのはじまりという連想的発
想で新しい世界（日常）＝稽古を通して世界が変わるという思いです。

【　見えない＝変えられない　】 
▲　編集稽古は、アタマの中の見えないプロセスを、
　　とらえて変更をかけていくためのエクササイズ。

――　ワカルとカワル！　編集学校の合言葉です。

 菅野　そうなんです。夜明けのころ、空の色が微妙に変化するよ
 うな学衆さんの変化を見逃さない、師範代的な視点ということも意
 識しました。

  ――どんな変化がありましたか？

 菅野　お稽古がどんどん面白くなっている様子は、回答からビシ
 バシ伝わってきましたね。「用法１、２と頑張ったから用法３が楽
 しいんですね」と、実際にコメントしてくれた学衆さんもいました。
  ポラリス・ルーチェ教室は、回答一番乗りの方が固定ではなく入れ
 替わりがけっこうあったんです。それなら「全員一度は回答一番手
 になってほしいな」と思ってつぶやいたら、追い上げ稽古をしてい
 た学衆さんが頑張って、最後の38番でとうとう一番乗り。カッコイ
 イやら嬉しいやら、教室も盛り上がりましたね。

【　イメージもマネージできる　】 
▲　情報をインしてアウトするまで、４段階・38の「型」を稽古する。
　　38もあるから、「得意」や「クセ」が皆違っていて面白い。

 また、いったん回答が止まってしまった学衆さんが、「絶対卒門
 します」宣言をして稽古を再開し、見事やりきったことも思い出深
 いです。「これまでの自分から変わりたい、それには今ここなんだ」
 という切実な思いを感じました。 学衆さんのそういった場面に立ち
会えて、私も力をもらいました。

 ――川畑さん、西さんはいかがですか？

 川畑　ネット上のお稽古なので、それぞれの事情もあって、お題
 への回答が遅くなる時もあります。特に卒門間際の時期になると、
 教室の仲間の声かけ・エールから、すごくやる気をいただくんです
 よね。エールをいただいて卒業へ向けて火がついて稽古する仲間の
 踏ん張りをみて、こっちもまた稽古に燃える。すごい一体感にネッ
 ト上の教室が変わっていったことを思い出します。

  ――卒門に向けての一体感。教室に生まれるドラマですね。

 西　自分自身の変化ではっきりと覚えていることがあります。
 汁講（しるこう：イシス流のオフ会）を前にしてそれまでの
稽古の復習をしました。その時、実は振り返りで自分の頭の中の
動きに意識的になることが、とても大事なことだったのではない
かと気づいたことです。それからは、少しずつ、 回答する段階から
頭の動きに敏感になるように注意を払うことができるようになっ
たと思います。

  ∴‥∵　お鍋のような教室　‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵
 
――ご自身の「カワル」を感じられた西由江さんの教室名は「蓮
 式パエーリャ」。なんか美味しそうです。

 西　はい。スペイン料理で一番好きなものが「パエーリャ」なん
 です。様々な具が一つの鍋の中で、個性を消さずにいい味を出し合
 います。教室に集う学衆さんの回答が重なり合い、混じり合い、い
 い味の教室に出来たらという思いを込めています。

 ――鍋の中でいろんな味が混じってぐつぐつと美味しい料理が出
 来上がるように、師範代と学衆のやりとりが教室の味をつくります。

 西　もうひとつの「蓮」の花は、泥沼にあってもその養分を吸収
 し、美しい花を咲かせます。学衆さんにも自分の持ち味を活かして、
 方法という養分を吸収し、多様な図を描き、自分の回答という華を
 咲かせて欲しいという願いを込めました。

 ――蓮の花と学衆を重ねて考えられたのですね。

 西　最初「蓮華」と教室名候補を提出しましたが、校長から「蓮
 式」と名付けていただきました。「蓮華」と「蓮式」。一字違いな
 のに大違いの言葉の意味の広さがあり、「式」にされたことでモー
 ド、スタイルも生まれました。


 ――校長のネーミング編集の一端が垣間見られますね。教室名に
 よって師範代の構えやスタイルが決まり、背中を押されるようです。
 ほんと教室名には不思議な力があります。


∴‥∵　ただ今稽古中42守　‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵

 今回集まっていただいた３人の教室「地涌ザナドゥ教室」「墨攻
 センダード教室」「蓮式パエーリャ教室」は近々、守にお目見えす
 る予定です。３人の師範代と３つの教室、そして学衆といったいど
 んな教室ドラマが繰り広げられるのか本当に楽しみですね。

 さて、一足お先にデビューした42守が、ただ今稽古の真っ最中。そ
 の20教室がこちらです。

 てにをはＡＤ教室（西口紗耶加師範代）
 ４２．１９５教室（安田晶子師範代）
 閃光リミックス教室（倉田慎一師範代）
 惑溺セラフィータ教室（戸田由香師範代）
 発酵エピクロス教室（平野しのぶ師範代）
 多読児雷也教室（山本辰之師範代）
 はじかみレモン教室（梅澤奈央師範代）
 脳交ハニカム教室（清水優年師範代）
 絶対安全カミソール教室（原田祥子師範代）
 ヤバケイ万全教室（田中さつき師範代）
 初音ミク太郎教室（網口渓太師範代）
 ポンヌキ・ハイボール教室（渋谷菜穂子師範代）
 あやつり近江教室（米田奈穂師範代）
 偶察ものさし教室（宗雅彦師範代）
 いとへん波羅蜜教室（遠藤大地師範代）
 よりみちパンセ教室（上原悦子師範代）
 聖杯はらはら教室（衣笠純子師範代）
 武蔵ハット教室（坂井好古師範代）
 多相アセット教室（三津田恵子師範代）
 漸進うっちゃり教室（根本真奈美師範代）


 う～ん、やっぱり教室名って不思議です。 （番匠・景山和浩）