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ISIS People

編集する人々

  • リベラルアーツ×編集

    日本流のリベラルアーツを再編集する

    「知窓学舎」塾長
    多摩大学大学院客員教授
    ジャーナリスト
    『自分で考える力を鍛える 正解のない教室』(朝日新聞出版)

    矢萩邦彦

    僕はもともと松岡正剛校長が編集長を務めていた雑誌「遊」や、千夜千冊を読んでいて、イシス編集学校には 2007 年に入門しました。
    それ以来、自分でも松岡校長のように、宇宙の始まりから現代までを 1 冊にまとめてみたらどうなるんだろう、世界を曼荼羅的にあらわしたらどうなるんだろうとずっと考えていました。

    ■ミッションは「日本流のリベラルアーツを再構築」

    イシス編集学校では、基本コース 17 期[守]に入門後、応用コース[破]、編集コーチ養成講座[花伝所]へ進み、世界読書奥義伝 4 季[離](最優秀賞・典離)を受講しました。
    また、2008 年に 20[守]・20[破]の「道侠オルガン教室」、2013 年の 30[守]では「越境アルス教室」の師範代として登板しました。
    僕のミッションは「日本流のリベラルアーツを再構築する」ことだと思っています。イシス編集学校に入門したり、[AIDA]に参加したりする方々は、リベラルアーツの重要性は実感していらっしゃると思うのですが、日本全体を底上げするような教育に変えたいと思っている僕としては、初等中等教育のうちからそのような素養を身につけられるようにしたいと日々活動しています。
    『自分で考える力を鍛える 正解のない教室』(朝日新聞出版)も、中学受験をする小学校高学年以上の人であれば、中学生も高校生も大学生も社会人にも楽しんでいただけるように書きました。

    ■中世の「自由七科」がなぜあの 7 科目だったのか

    日本流のリベラルアーツで、もっとも優先して扱うべきことの一つは日本語の文法だと思っています。
    ただし、いま世界中で使われている「機械語」は、英語から生まれたものです。英語は主語が明確で、結論がないと話し出すことが難しいという特徴があります。一方、日本語には「話しながら考える」ことができるという特徴がありますが、このような文法の違いを無視して、欧米のリベラルアーツをそのままもってきてもうまくいきません。
    日本では、古代ローマにはあった「リベラルアーツ」の体系がすでに崩れてしまっています。世に出ている本を見ると、リベラルアーツと銘打っていても、雑学の寄せ集めになってしまっているものも多いと思います。僕は、中世の「自由七科」がなぜあの 7 科目だったのか構造的にとらえたうえで、それが現代の日本でいえば何にあたるのか考えて、再構築していきたいと考えています。そうやって「リベラルアーツってこういうものだよね」という共通認識ができれば、教育への導入も進みやすいと思っています。

    ■今いちばん必要な3つの力 編集力・国語力・想像力

    僕は「知窓学舎」という私塾を経営しています。
    哲学的な話は、実は子どものほうが響くことがあります。たとえば、世界は 5 分前に出来たと考えるニック・ボストロムの「シミュレーション仮説」は小学 5 年生がいちばんどよめきます。量子論なら、大学生よりも中学生に響きます。
    塾の保護者会などでは、いまいちばん必要なのは「編集力・国語力・想像力」の3つだとよくお話します。中学受験では「新タイプ入試」が導入されています。
    たとえば、リンゴが書かれた絵画を見せて「作者に聞いてみたいことを書いてください」と問うなど、模範解答のない問題が出されます。ここで見ているのは、受験生の回答と、自分の学校のアドミッション・ポリシーとの相性なんです。受験生側からすれば、自分の言いたいことを伝えるだけでなく、学校との対話が必要になるわけです。
    これって編集ですよね。このようなお話すると、肌感覚では保護者の 3 分の 1くらいの方が納得してくださいます。

    ■「世界を編集する」スタートラインに立つ

    構想 15 年、執筆に 2 年半かけて『正解のない教室』を書いたひとつの目的は、世界という全体像を把握してもらうことです。
    まず自分がどんな世界に生きていきたいのか、それを考えるにしても、まず全体像を把握する必要があります。
    この本を読めば、「世界を編集する」ということのスタートラインに立てると思っています。

     

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  • アセットマネジメント×編集

    日本語で深く考える力を身につける

    アセットマネージャー
    不動産投資ファンド

    平野しのぶ

    きっかけはスーザン・ソンタグの千夜千冊でした。
    あの千夜を読んで、松岡校長に対して「私はあなたみたいになりたかったんです」と思いました。憧れるというより「そういう人間でありたい」と感じたんです。

    スーザン・ソンタグの千夜千冊

    ■「母国語で深く考える力」がほしい

    イシス編集学校に入る前、松岡校長の話を聞きに行ったり、各方面から話を聞いたり、まず、松岡正剛という人物を徹底的にリサーチしました。調べれば調べるほどに「間違いない」と確信することができたので、この人に師事しようと決めてイシスに入門しました。
    実は、イシスに入門するずっと前のことですが、大学院でMBAを取りました。でも大学院は、言ってしまえば付け焼き刃的な教育で、ちょっとがっかりした思い出があるんです。私としては、レポートを書くなどちゃんとアカデミックな訓練を受けたかったのですが、それもかないませんでした。そのとき、私が欲しいのは「母国語で深く考える力」だと気づきました。

     

    ■「書く」とはすなわち「考える」こと

    そもそも私は母語が日本語ですから、日本語をしっかり使えないと仕事になりません。日本語で考える力を養うと言えば、イシス編集学校は最適の環境です。とくに養成コース[花伝所]に入って指南が書けるようになってから、手応えが大きく変わりました。自分が場をまわせるようになると、よりインタラクティブなやりとりを生み出せるようになりました。
    イシスでは「書く」ということをトレーニングしますが、「書く」とはすなわち「考える」ことですよね。資本主義社会では、指示であっても伝達であっても、いかにして短い言葉で伝えるかという効率が求められますが、ミニマムな言葉だけ使っていたら言葉がやせ細ってしまいますね。

     

    ■日本語は最大公約数に近い?

    ハイパーエディティング・プラットフォーム[AIDA]も刺激的です。AIDA season3のテーマは「日本語としるしのあいだ」でした。AIDAでの学びを通して「日本語は最大公約数に近いのでは」と思うようになりました。世界で広く使われている英語は言語の最大公倍数かもしれませんが、日本語はその特徴としてさまざまな言語に共通するものを多く持っているように思います。
    このように知的欲求を満たすという点で、イシスに代わるものはほかにありません。私は性格的にベタベタできないので、仲良しクラブには興味はありませんが、いまの私は仕事だけでは見方を広げるには物足りないので、馴れ合いにならずに知的な学びができる場としてとても貴重ですね。

     

    ■イシスはこんな人におすすめ

    息子を含めて、これまで10名ほどの知人や友人にイシス編集学校を推薦してきました。私が推薦した人は、もともとポテンシャルがあって、なにか突破口を探しているという人たちです。
    本を読むことが好きだったり、マーケティングに携わったりする人たちはイシスと親和性が高い気がします。イシス編集学校では「言葉を選ぶ」というトレーニングをするので、たとえばデザインの細かい方向性など、言語化しにくいものを言葉で伝えなければならない人たちも仕事で活かせるスキルが身につくのではと思います。

     

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  • 出版×編集

    プロの編集者がなぜ「編集」を学ぶのか

    株式会社アルク編集者 『ENGLISH JOURNAL』元編集長
    『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』企画編集

    白川雅敏

    アルクという語学書をつくる出版社で編集者をしています。イシス編集学校に入門したのは2015年の春のことです。イシス編集学校主催の「イシスフェスタ」というイベントに作家の赤坂真理さんが出演した回があって、それに参加したのがきっかけです。

     

    ■「編集力チェック」の衝撃

    イシスフェスタには実は赤坂真理さんご本人に招待していただいたんです。少し話が長くなるので、詳しい経緯については遊刊エディストのインタビューをご覧ください。

    それにしても、イベントでの松岡正剛校長の博識ぶりには衝撃を受けました。出版業界にいるので、もちろん松岡正剛の超人的な凄さはそれとなく知っていましたが、リアルの姿は圧倒的でした。
    でも正直、受講料が安くはないので、即入門というわけにはいきませんでした。そこで、まず無料の「編集力チェック」をやってみました。
    すると、返ってきた指南にこれまたびっくりしました。師範代はいわば「赤ペン先生」のようなものなのかなと思っていたのですが、予想を遥かに超える指南が返ってきました。これはもうやらねば、と思って2015年、基本コース[守]に入門しました。

     

    ■ぜったい大変だけどどうして楽しそうなんだ?

    [守]入門に続けて応用コース[破]世界読書奥義伝11季[離]を修了しました。
    その後、師範代養成コース[花伝所]を経て、2017年に39[守]・39[破]の師範代(「全部らくだ教室」)として登板し、さらに師範を6期、番匠を1期、花伝師範を2期務めました。
    なぜそこまで編集学校にハマったのかを簡単にお話します。まず[守]に入門すると、教室に10人ほどの学衆がいて、お題が配信され、当然、学衆によって、それぞれ回答は違うわけですが、それに対して、師範代がとっても楽しそうに真夜中に指南を返していたんです。
    「これ、ぜったい大変だけど、どうしてそんな楽しそうなんだ?」と、その秘密を知りたくなったのです。
    それから、イシスフェスタで本楼に行ったとき、あの世界観にやられました。
    入門してみると、やっぱり校長の世界観が知りたくなって、世界読書奥義伝[離]を目指すことにしました。

     

    ■「ナイン・インタビューズ」の作り方

    本業では、イシスに入門した2015年はマネジメントを担当していました。いまはまた編集の仕事に戻ってきました。最近は、TOEICや共通テストなど試験対策の本を作ることが多いです。その前は『ENGLISH JOURNAL』という雑誌の編集長をしたりしていました。
    まさに「編集」の仕事をしながら編集学校に通っていたわけですが、もし学衆だけで終わっていたら、イシスで学んだことはあまり仕事に思います。師範代になってから、いや、師範になってはじめてお題の深さや意味がわかってきました。学んでいるうちに、自分が本や雑誌を作るときに使ってきた方法を、言葉にできるようになってきたんです。

    私が企画編集した『ナイン・インタビューズ』という本は、イシスに入るまえに手掛けたものですが、これも編集方法を使って作ったものなんだということを今は自信を持っていうことができます。
    たとえば「ナイン・インタビューズ」というタイトルは、サリンジャーの短編集『ナインストーリーズ』に肖ったものです。
    「柴田元幸」「ナイン・インタビューズ」というキーワードを見ると、英米文学好きなら「ははーん、英米文学に関する9つのインタビューを集めたものね」「僕らに向けた本なのね」と連想するはずなんです。
    このように当時、いろいろ工夫したことを、編集術を学んだ今なら振り返って言語化することができるようになりました。

     

    ■編集は遊びから生まれる

    マネジメントを経て編集の現場に戻ったので、いまは若手を育てることも仕事の一つになっています。そのとき、編集学校で学んだことがとても役に立っています。編集の方法を言葉で説明する機会がけっこう多くて、編集学校で習った《見立て》とか《一種合成》なんていう言葉を使うと、伝えわりすいんです。

    松岡校長は「編集は遊びから生まれる」とよく話しています。その意味で、僕にとって本を作るっていうのは「遊び」なんです。
    小学生のころから「学級新聞」をつくったりするのが好きでしたし、いっしょに仕事をしている人には「白川さん、子どもみたいですよね」ってよく言われます。ものづくりって大変なんですけど、それでも苦労して作って、それを誰かが面白がってくれるのってすごく幸せなことです。
    編集学校に携わっている人も、みんな遊んでいる感じがするじゃないですか。だから僕はイシスが好きなんだと思いますね。

     

    ⇒インタビュー全文はこちらよりご覧いただけます

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