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    編集で磨くNPOの発信力

    非営利組織評価センター業務執行理事
    NPO支援

    山田泰久

    私は非営利組織評価センター(JCNE)という団体で、NPOの組織評価をしています。NPO団体を支援する仕事です。NPO法人は、当事者や支援者の方に自分の団体を知ってもらう必要があります。発信力がなければ、活動が成り立ちません。イシス編集学校の「編集」というキーワードを聞いたとき、これは発信力強化に使えそうだなと感じました。

     

    ■物事を多面的に見る方法

    実際に学んでみると、想像以上の威力がありました。編集術は文章を書くための方法だと思っていたんですが、まったく違いました。アウトプットの方法だけでなく、インプットの方法から一気通貫して学べることに驚きました。NPOではつねに「当事者から」「支援者から」など視点を変えながら社会問題を見る必要があるのですが、稽古を通して物事を多面的に見る方法が身につきました。

     

    ■教室の仲間から学ぶこと

    多面的なものの見方が身についてきたなと感じたのは、[守]に入門してから2カ月ほど経った頃です。受講する前は、編集学校では学ぶことを「稽古」と呼んでいるので、師範代である先生と生徒である学衆のマンツーマンの稽古のようなものを想像していたのですが、実際は教室に10名程度の仲間がいて、その人たちのそれぞれの回答を見ているだけで、多様な視点を得られました。ぼくの教室には、主婦の方もいれば広告代理店で働いている方もいました。人それぞれにそれぞれの人生があって、まったく視点が違うんだなということがありありとわかったんです。

     

    ■メールの書き方が上手くなる

    編集コーチ養成講座[花伝所]の学びも仕事に直結しました。例えば、メールの書き方が明らかにうまくなりましたね。花伝所では相手の言葉を「受け止める」ということをまず教わります。その人がなぜこういう思考に至ったのか、なぜそのような見方をするのか、コミュニケーションの方法を深く学ぶんです。それが身につくと、たとえば仕事で「寄付集めについてどんな方法があるのか知りたい」というメール相談を受けたとき、「この人はどれくらいの知識をもっているんだろう?」「この人は何をいちばん求めているんだろう?」などと相手の状態を察して、お返事ができるわけです。

    それ以前は、相手の言うことを受け止めるという意識がなくて誤解が生じることもありました。でも、編集学校で学んでからは、顔の見えない相手とメールベースでやりとりすることが格段にスムーズになりました。

     

    ■SNS発信でも活きる編集術

    また、SNSを使って不特定多数に発信することも多いのですが、そのやり方も洗練されたと思います。週に3日、NPO団体向けにセミナーを開催していた時期があって、その告知文を作るときにはつねに編集術を意識していました。例えば、セミナーのタイトルがキャッチーじゃないと当然関心を持ってもらえないわけですが、そこで活用したのが《編集思考素》や《ネーミング編集術》など基本コース[守]で学んだ方法です。記事本文を書くときも文節を意識するようになりました。[守]では、センテンスを分解して並び替えることで意味を変えてしまうという「バナナと魯山人」というお題があります。そのお題を意識することで、伝わりやすい文章が書けるようになった気がしています。

     

    ■NPOと編集の近さ

    そもそもNPOの活動自体がかなり編集に近いと思います。というのも、NPOの役割は、社会のなかで困っている人と応援したい人をつなぐことにあります。編集というのは、つなぐこと、関係づけることです。それはこれまでは行政が担ってきたことですが、いまはNPOへの期待が高まっています。また、コロナ禍を経て、言葉を使って発信することの重要性も大きく高まっていると思います。

     

    ⇒インタビュー全文はこちらよりご覧いただけます