
日本唯一の松岡正剛直伝講座として
[離]総匠 太田香保
校長直伝プログラム「世界読書奥義伝・離」が2005年に誕生してからはや17年近くが過ぎ、とうとう第15季を迎えることになりました。
[離]は1~2年に一度だけ限定30人を対象に開講する少数制であること、過剰なカリキュラムのもと莫大な量のお題を課すことから、受講にあたって決死の覚悟と心構えが必要であるということが、半ば〝伝説〟のように語られてきました。実際にも、入院者の多くが「想像していた以上に大変だった」と感じてきたようです。それでも毎季のように満員となり、ほとんどの入院者がなんとか全番を全うしてくれました。すでに[離]の退院者=修得者は400人近くにものぼっています。
[離]の学びは、松岡校長の書き下ろしによる門外不出のテキスト「文巻」に沿って進みます。「文巻」は、言葉とイメージのおおもとをたどりながら古今東西の多様な“知”のモデルと方法を提示しつつ、より自由で冒険的な「世界」の読解可能性へと導いてくれる虎の巻です。そこにはまた方法感度や方法意識を揺さぶるたくさんのお題(編集稽古)が埋め込まれています。文巻が指定する大量の参照テキストをも読みこなしながらそれらのお題に取り組んでいくことが、[離]における編集稽古となります。
[離]の編集稽古には正解も模範回答もありませんが、絶対に実践してほしい規範があります。ひとつ目はつねに既知から未知へ、未知から多岐へと読書視野を広げながら考察を深化させるということです。ふたつ目は、みずからの“読み”の意図を束ねながら思いきった“書き”=表象へ向かうことです。三つ目は、それらの編集プロセスを院仲間とインタースコアしあい、ときには協働協奏しながら、創発的な学びの「場」に貢献していくことです。
このような[離]の理念はすべて当初から用意されていたわけではありません。これまで14季にわたって松岡校長が果敢に文巻をバージョンアップし、歴代火元組がそれにあわせて指南の方法論を深めていくなかで培われてきたことです。第15離においても、これらのことは全18週間の開講期間中、くりかえし火元組が促し、諭していくことになります。
その一方、いまイシス編集学校全体が、この20年間でめまぐるしく変化してきた電子社会のあり方や、世界と日本が直面している反知性主義的な動向、とりわけ日本の教育文化の低迷にどのように向き合うのか、松岡正剛の編集工学にもとづく「守・破・離」の思想や方法論をどう社会に力強く打ち出していくのかが問われはじめています。[離]でもそのことを受け、いままで以上に文巻やお題、また指南の方法にも大胆な改編や改訂、バージョンアップを施すことによって、日本で唯一の松岡正剛直伝講座にふさわしい、さらにラディカルな「学び」の場を目指していくことにしています。
入院審査も退院認定もこれまでよりも厳しくします。とりわけ退院については、全18週間の開講期間中を通して、積極的で自発的な学びの意欲を発揮しつづけないかぎり認めません。いかなる事情があろうとも、退院認定を受けるための条件を最低限クリアするといった弱腰や及び腰の姿勢のまま終えてしまった人は、退院認定の段階で振り落とします(それを新たに「振袖」と呼びます)。
といっても、もとより世界読書奥義を渇望し武者震いしながら入院してくる皆さんは心配無用です。その気概に120パーセント答えるべく、世界読書奥義を体得した火元組が惜しみないヒントや指南を提供します。皆さんのほうは、使い古した思考や紋切的な言説のいっさいを捨てて、なんとしても松岡校長直伝プログラムを全うするのだという熱意を全身にみなぎらせて、どうぞ門をくぐってください。
ますます混迷する世界と日本の片隅に、凛とした言葉とイメージと方法の「場」を、ともに築いてまいりましょう。
15離ニューエイジの諸君へ
イシス編集学校「離」 火元校長 松岡正剛
何を母として育ち、いつどこへ向かって離陸するのか。仮に予想もつかない難儀なことがそこに待っていようとも、どんな成長の明日にも「守」と「破」のあとには「離」の壮絶が待っているのです。個人だけではない。いま英国も台湾もバスクも、ウクライナもチベットもミャンマーも、その格闘を選択しています。
諸君もいよいよ「離」に挑もうとしているのですね。その日が近づいてきました。待っています。「離」には予想のつかない方途によって、世界知と共同知と個別知がめくるめく交差しています。そこからは、汲めども尽きぬ学びと収穫があるはずです。大いに腕を撫し、大いに愉しみにしてください。
15離は、校長にとっても長きにわたる「離」の中での重要なターニングポインになるだろうと思っています。諸君を迎えるにあたって、「離」に新たな様相を加えようと決意したのは、予想以上に世界観がひどく乱れているからです。世界観の低迷や劣化は、長くて多様な文明史のなかではしばしばおこってきたことではありますが、高密な情報ネットワーク社会が爛熟しているはずのこの時期の体たらくには、やや慨嘆すべきものがあると感じるのです。とくに日本がヤバイ状態になっている。
そこで、「離」の在り方を一新したいと思ったのです。きっと、諸君にとっても、世界と自分のあいだがスカスカになっているでしょう。諸君はスマホでどこともつながっていると思っているかもしれませんが、そこには、なんら理解を深めるものや、自信を強化してくれるものなんて、用意されていなかったのですよ。スマホに大量の情報が提供されているのだから大丈夫だろうというのは虚妄です。文巻を読み、そこに隠しこまれた方法に目覚めてください。そのことをもっと切実に伝えたいために、15離から、かなり新たな方針と内実を提供することにしたのです。諸君はそのニューエイジです。
火元組も一新しました。易経では「離」は「火」や「南」をあらわすので、そこで「離」の指南陣のことを火元組と称んでいるのですが、15離は斬新で果敢な火元組になっています。そのぶん諸君も「挑みがい」や「やる気」が出ると思います。では、無事、入院されんことを!
火元校長 松岡正剛

離のカリキュラム
松岡正剛が書き下ろした門外不出のオリジナルテキスト「文巻」によって、世界の見方・読み方・語り方を体得します。
火元組(指導陣)
[離]では松岡正剛校長は「火元」を名乗り、指導陣は「火元組」と呼びます。
離学衆をめらめらと焚きつけます。
- 第十五季
- 火元校長 松岡正剛
- 総匠 太田香保
- 別当師範代 小西明子・寺田充宏
- 別番 桂大介・大久保佳代
- 右筆 小川玲子・梅澤光由
- 析匠 小倉加奈子
- 方師 田母神顯二郎・小坂真菜美
表沙汰(1日リアルセミナー)
校長直伝の講義を受けたり、
指導陣と学衆がテーブルを囲み
ディスカッションなどで学び合う1日です。
会場:編集工学研究所 1F「本楼」(予定)
※受講者は必ずご参加ください。万が一欠席された場合は退院を認めません。
第十五[離]世界読書奥義伝
- 開 始 日
2022年6月11日(土)
- 稽古期間
2022年6月11日(土)~2022年10月17日(月)
表沙汰(おもてざた)
日時:2022年8月27日(土)
会場:編集工学研究所 1F「本楼」(予定)
※受講者は必ずご参加ください。万が一欠席された場合は退院を認めません。
退院式・典離式
日時:2022年11月19日(土)
会場:東京近郊を予定- 定 員
30名
- 受講資格
[守]および[破]修了者
※[破]アリスとテレス賞(知文および物語の両方)に
エントリーした人を優先的に受け付けします。- 受 講 料
500,000円(税込)
※オリジナルテキスト代・図表代・指導料・表沙汰受講費を含みます。
※お問い合せは、学林局窓口:ri_editschool@eel.co.jp(担当:八田)まで
※クレジットカードがご利用になれます。(分割払い可能)