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建築×編集
未知に向かう場づくり
岩田章吾建築設計事務所
武庫川女子大学教授
大阪府在住岩田章吾
小さい頃からなんでも腑に落ちたくて仕方なかった。編集学校に入ったのも、大学や大学院でも満たすことのできなかった知の渇望があったから。得たものは多く、とくに[離]で出会った世界観や院の仲間からは得難い刺激をもらいました。
■「明白な未知」を世界に残したい</font color>
建築は世界に痕跡の残る仕事です。表現メディアとしては遅くて重くて(コストが)高いという特徴がありますが、だからこそ意義がある、現代において100年、200年とモノが残るということ自体が社会という舞台の継続性を示すことでもある。道はハンナ・アレント、ヴィトゲンシュタインといった先達が示してくれている。
今はいくつもの断続をはらみながら古代から続く歴史の物語群の一幕。時代の空気である「あいまいな既知」から解放された「明白な未知」の建築をつくっていきたいです。■新たな価値を提示する建築を</font color>
私は今、建築家の仕事に加えて、大学で建築史を教えたり、こども建築ワークショップなどの社会活動にも参画したりしています。2011年に「えいの里保育園」(兵庫県主催・第16回人間サイズのまちづくり賞受賞)の園舎を設計した際は、「場」はつくるが子供たちの行為は規定しない建築にしようと考え、園庭をコの字型に囲む木造園舎の大屋根の下の空間は自由に走り回れる場としました。
建築はクライアントと建築家のインタースコア。クライアントが喜ぶだけでは充分とはいえず、それを超えた価値を提示することが大事です。場所の歴史や文化、クライアントのこれまでの暮らしをどのように編集し新たな価値を見出すかが建築家の役割です。TEXT:福田容子
EDIT:長田陽子えいの里保育園
「ちびっこうべ2014」こども建築ワークショップ