退院認定は、「離論」の内容審査によって最終決定となる。もちろんその前に、規定の課題をすべてやり終えていることが前提条件となっている。第3季は32人の受講生中、29人がこれらの条件をクリアし、また「離論」審査に合格。
 
 「世界読書奥義」を修得した証として、退院式では、松岡校長から一人一人に退院認定賞を授与する。試練を乗り越えた離学衆たちの多くが檀上で目を潤ませ、校長がやさしく一人一人を抱擁する。これまでの「感門之盟」でも感動を呼んできた名場面である。
 ところが驚いたことに、開講直後から積極的な学習姿勢を見せてきた第3季離学衆たちは、退院式においても破格な計画を準備していた。なんと女性陣たちが、舞踏会のような豪華なドレス姿で会場に現れたのである。世界読書に対して受け身ではいられない、身を乗り出して果敢に向かい続けた第3季離学衆のパワーが、その晴れ姿に象徴されていた。

ずらりと揃った第3季[離]の別当・別番・右筆・秘書。
女性陣がドレス姿で登場、会場がどよめいた。

 下記の退院者たちの言葉は、退院式でスクリーンに映し出された、それぞれの「離論」の一節である。




●大越康弘
第三季・離。これこそ世界で一番受けたい授業だった。
自由に向かって行く歩みには、終わりということはない。
むしろこれからが本番。

●松崎智子
圧倒的な世界知、強力な方法論の前で、同時進行で起こった自分の欲望や不足、怒りについて、余分なものをそぎ落とし、譲れないものを明らかにせざるを得なかった。

●日玉浩史
自分を主題にしたらおしまいだ。そうならないように、近さのための負の倫理、仁義を携えて世界読書に堕ちていこう。
ドン・キホーテのように。

●岸本亨
越境の冒険とスリルを楽しみながら新たな視野を獲得し関係性の発見をすることに「編集思想」の眼目と醍醐味がある。

●丸山ちさと
「負を安心して投げ出せる場」を得ることが出来たこと。ようやく見つけたありのままの私の居場所。これこそが、離で会得した最も大切なものである。

●成澤浩一
一、「怒り」を起爆剤とし、必然へ転化すること。
一、「怒り」と「フラジャイル」はセットにしておくこと。
一、「怒り」とともに世界読書すること。先達の声に耳を澄ますこと。

●松永真由美
ひとりで世界読書に向かい合う勇気をもち「慎読」を徹底しながら、離の仲間との共同知を忘れないこと。

●堀内健太
離は立ち上がる。何度でも立ち上がる。
断って起って経って建って絶って発って辰になる。未来の記憶はとっくにここにあったんだ。 

●竹島陽子
汲めども尽きぬ宇宙の網目、編集的自由には無数の縁側が横溢する。一生の離において、知は無尽蔵で、放埓で、無限大なのだ。

●山田寛
守のみだと同一性になる、守り、破り、離れてこそ、相似性になる。
それが、日本という方法の「叡知」だったのかもしれない。

●瀧井洋子
常に余白を残すこと、中心に何もない斎きの空間をあけ、訪れる影向をいつでも感じ取れるようにしておきたい。

●福嶋秀樹
やはり、これだった。ぼくの「知」の渇きを癒すのは。空白の席を埋めるのは。
この偶然を必然にしなければ。

●土井一満
「離」によってうがたれた「ウツ」は、「知」が生まれてくる生命の泉です。
倦まず、焦らず、諦めずに汲み続けていきたいと思います。

●高柳康代
脳の中には無限大の宇宙が広がっている。なぜなら、宇宙の始まりも、宇宙の果ても、原子の動向も、陽子の振る舞いも、すべて“人間の思考の中”から生まれたのだから。

●小川景一
「枯れる」とは「離れる」に通じる。
元来は人が離れて恋しくなるときのことを表す言葉であり、「枯れる心」によって水の流れを聞くのである。





 

●安井大輔
互いが分かちがたく重なり合っている自分と世界の多層的な視界こそが、世界読書のパースペクティブであったんですね。

●長谷部亮介
感じることと思考することは一生涯の伴侶だ。命ある限りいくらでも反復できる。
立ち戻る文巻も、既に手元にある。

●野嶋真帆
そもそもこの体は重力場の特徴なのだし、意識は歴史の途中からの参加者である。「今」は、大きな大きな宇宙のカナリゼーションの中の1点であり、当然のことながら、他人事は自分事と続いているのだ。

●阪井博
読む人、聞く人が「ははーん、この人、【離】をやり終えた人だな」と感じてもらえる「仕事、言葉、生活」を続けて行きたい。

●中村正敏
主題に耽溺することなく、方法に惑溺することなく、美をも芸術をも捉えて離さない“方法”を、この国こそが提示できるのではないか。

●岡本嗣典
いよいよ暗く深い、大きな書物の森の中へ、独離で入ってゆく時がまいりました。
いざ、果てのない森の奥へ!

●加藤達彦
「離」は、僕にとって〈ふるさと〉だった。困ったとき、壁にぶつかったとき、孤独に陥ったとき、きっと僕はここに幾度となく帰ってくるだろう。

●石田純子
幼心が現在と乖離している限りどんなテーマも私の着地点にはならないのだろう。 
しかし私の文巻はいま私の幼心といっしょに動き出した。

●大音美弥子
時間だ、関係だ、組織だ、ルールだ、経済だ。いや戦いだ、恋愛だ、と「離」学衆を襲う困難は文巻の流れと相似律でやってくる。最後の敵は、「なんだ。自分だってできるじゃん」と思ったときに襲いかかってくる。

●加藤清一
目標は、「臨界知」を超えること。
戦う武器としての文巻、気づきを盛りつける食器であるノート、楽しい音楽を奏でる楽器であり楽譜でもある目次録を授かったのだから。

●迫村勝
一番心を打たれたのは、感極まったのは、「面白さ」や「楽しさ」などではなく、「離」の「きわどさ」のようなものだった。

●近藤茂人
教育の本質は「遊」である。
「離」がそうであったように、一生の原郷を作ることである。

●菊池しのぶ
得たものは、世界に向き合うための地図とスコープとツールたち。
世界に投げ出されても大丈夫だという勇気。そして編集魂。
見慣れてたはずの日常に「!」があふれて、やりたいことが山ほどできた。
未踏のフロンティアは広大。
退屈してる暇はない。

●斉藤伸子
自分と世界を分けている「あいだ」。これまで発見され、記述されてきたあらゆる解釈を呼び起こしてそれを越えてゆこうとするべきではないか。





■第三季「世界読書奥義伝」世界読書の夜明け
■第三季「世界読書奥義伝」退院認定者発表
■第三季「世界読書奥義伝」特別賞受賞者発表
■第三季「世界読書奥義伝」典離認定者発表
■第三季「世界読書奥義伝」指導陣

 



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第3季[離]の成果を語る太田総匠
退院証授与式は校長の目も潤みっぱなし







































大越康弘さん
丸山ちさとさん
福嶋秀樹さん
土井一満さん
高柳康代さん
万酔院に祝辞を送る相京範昭別当





































安井大輔さん
阪井博さん
石田純子さん
近藤茂人さん
斉藤伸子さん
放恋院を讃える倉田慎一別当