5年目の[離]を締めくくる退院式にふさわしく、火元組は全員、それぞれの役割にふさわしい正装をして臨んだ。開講中はしばしば激烈な叱咤を放ってきた別当や別番も、この日は終始万感を噛みしめ感涙をこらえていたようだ。火元校長からは、感謝の気持ちを込めた書画が贈られた。


●相京範昭別当師範代(耽像院)
「耽像院」は一人一人の力が相互に共振し、全体で知の触手を伸ばしていった院でした。耽像の「耽」は「ふける」、「像」には「かたち」になって出てくるという意味があります。この言葉を胸に、[離]で得たものをぜひそれぞれが活かしてほしいと願います。

 

●土屋満郎別番(耽像院)
日本の将来には教育の力が必要だといわれます。しかし、実はそこで言われていることは、みなさんが[離]で学び、実践してきたことなのです。[離]は個人知のみならず、院全体で共同知を身につけ、世界読書を通じて世界知を学んでいく場所でした。今後も編集学校の内だけでなく、広く外の世界に向かってのみなさんのご活躍を期待しています。

 

●倉田慎一別当師範代(遊境院)
[離]では開始直後から暴風雨が吹き荒れ、それまで培ってきた自分の知やプライドが粉々に砕け散ります。しかし、それに挫けず、週を追うごとに院の回答は深みを増していきました。恋よりも速く、愛よりも深く、義理人情よりも厚く、宇宙よりも重く、みなさんのいのちを刻み込んだ16週間だったと思います。本当におめでとうございます。

 

●成澤浩一別番(遊境院)
これまで編集学校で学んできたメソッドが身体の底でぐつぐつと煮え立っていました。それをなんとかみなさんに受け渡すことが私の役目です。この16週間の厳しさは、みなさんが新しい「日本という方法」を生んでいくための“刀“だったと思います。これから[離]を受講するみなさんも覚悟していてください。

 

●太田眞千代別当師範
みなさんが満身創痍・疾風怒濤の4ヶ月から無事に帰還されたことをよろこばしく思います。事前に[離]の噂を聞いていた方も多いと思いますが、実際は予想をはるかに超える大変さだったことでしょう。でもそのなかにこそ、目から鱗が落ちる体験、コペルニクスの転回ともいうべき知の発見が数え切れないほど含まれていたはずです。

 

●川島陽子右筆
校長の言葉に「香ばしい失望」という言葉があります。退院されたみなさんが実感されていることでしょう。私自身、この言葉に含まれる“負“を感じながら、どのように大切に使っていくことができるかを考えています。[離]はこれまで身体で感じてきたことを、自分の言葉で書き直していくことができる場所です。「離論」でみなさんが書かれた言葉には、そのように身体と言葉を一体化させていく姿が見事にあらわれていました。

 

●野島真帆右筆
『多読術』には「読み手は穿たれた書物である」という言葉があります。「文巻」に向かうことで世界読書の穴があき、まさに今みなさんの目の前には「穿たれた世界」が広がっていることでしょう。その穴は、きっと世界にぶつかった場所ごとの特徴やポテンシャルを秘めたものです。この「世界を読むための穴」を手に、これからも世界読書をご一緒してまいりましょう。

 

●広本旅人半東
[離]は、いまの自分から離れれば離れるほど、かえって日々のなかで切実に抱えている問題や情報との接点を見つけることができる場所だと思います。それを教えてくれたのはみなさんの方法に賭けるその一途な姿でした。第4季の学衆時代にはまるで見えていなかった編集的風景がいま目の前に広がっています。これからもみなさんとともに止まることなく世界読書を深めていきたいと思います。

 





 



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◇別当に贈られた書画◇