2010.10.5   [レポート]
No.24『日本文化私観』野秋誠治さん

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贈る相手の志向や関心事を知り尽くしたかのように、ピンポイントで選本される先達文庫。イシス編集学校の師範である野秋誠治さんも、自分の好みや趣味など、ひとことも伝えていないはずなのに、壇上で手渡されたその本に驚いた一人である。

野秋 誠治さん
  
第7期[守]雪ノア天馬教室 師範代

(東京都世田谷区在住/森永製菓株式会社/財団法人エンゼル財団 勤務)

【ISIS編集学校略歴】5期[守][破]学衆、7期[守][破]師範代、風韻講座1座、師範、序師


松岡正剛校長から野秋誠治さんへの先達文
「日本文化私観」坂口安吾 講談社文芸文庫

【内容紹介】精神の巨人坂口安吾のエッセイ集。「日本文化私観」「青春論」「堕落論」等々、22編収録。


 

 

 

  


 松岡校長は第八百七十三夜で坂口安吾の『堕落論』を取り上げている。20031021日のことだ。校長は言う。日本文化が好きな者、とくに伝統文化に深い関心を寄せる者には、安吾の『日本文化私観』と金子光晴の『絶望の精神史』は絶対の必読書である、と。『日本文化私観』はその年の夏、感門之盟でいただいた。『絶望の精神史』は1025日に購入した。

 

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扉の松岡校長直筆メッセージ「不屈の安吾から気骨の誠治へ!」

 『日本文化私観』は学生時代に、「日本文化研究会」というサークルに属していたときに読んでいた。そのサークルは奈良京都を隔年で旅し、日本人の自然観や町衆をテーマにして、研究という名の話し合いを行っていた。当時は、「日本文化」とつく本は手に取ってきた。松岡正剛を知ったのもそれ故にであり、編集学校に入ったのもその影響だった。ただし、そんなサークルに属していたことは、口に出していなかった。だから、校長からこの本を贈られたときは、正直、びっくりした。

 
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野秋さんの本棚に積み重なる松岡校長の関連本

 定年を迎える昨年の春は京都に行き、今年は夏の奈良に行った。僕の中のサークル活動はまだ続いているのかもしれない。

 贈られた本には「不屈の安吾から 気骨の誠治へ」と書いてあった。スーザン・ソンタグから一番気骨のある作家に会いたいと頼まれたとき、校長は世田谷の大岡昇平宅を訪れた。

 今の僕にとっては気骨は「きぼね」と読むのがふさわしい。「きこつ」と読める日は来るのだろうか。

     君何処 ぼろぼろになり 寝待ち月
     君は君 こちらはこちら 月の宴

 

 

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 風韻講座(小笹座)でもウィットにとんだ作品が好評だった野秋さん

 

(文・野秋誠治)