2010.4.8   [レポート]
No.11『魔女の1ダース』久野美奈子さん

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場と学び。このあいだを取り持つのは“問い”である。このことを痛感したのは、7年前のイシス編集学校の師範代時代であった。久野美奈子さんに贈られた先達文庫『魔女の1ダース』には、言葉と概念の間を巧みにつないでみせた米原万里さんの視点が輝いている。

久野 美奈子さん 6期[守] ちょっとバロッコ教室 師範代

(NPO法人起業支援ネット 代表理事/愛知県知多市在住)
ISIS編集学校略歴:2期・4期学衆、6期[守]師範代


 松岡正剛校長から久野美奈子さんへの先達文庫
『魔女の1ダース』
~正義と常識に冷や水を浴びせる13章~
米原万里 新潮文庫

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【あらすじ】私たちの常識では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです…。ロシア語カリスマ通訳者・米原万里が贈る最強の異文化エッセイ。

千夜千冊#197夜「魔女の1ダース」 http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0197.html


 

"間に立つ"×"引き受ける"

 

 
無我夢中で駆け抜けた師範代生活を終え、この本が手元に訪れてから7年。いただいたときは、「ゴールにたどり着いたご褒美」と思っていたのですが、いつの間にか“戻るべき原点”になっていました。

「近いほど遠くなる、遠いほど近くなる」。

本書の第10章で出てくる言葉です。ここで描かれているのは、“場”と“学び”の関係だと私は受け止めました。

発するものと受け取るものの間。落差。ギャップ。それらは、一見、場に軋みを生みだすように見えます。でも、その軋みこそが、豊穣で芳醇な学びの場への入り口なのですね。

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いつも持ち歩いていた先達文庫。読み込んだ様子が伺える

かつて師範代というロールを与えていただいたとき、編集術の知識も技術も経験もわたしには圧倒的に足りませんでした。そんな中、できることと言えば、学衆(生徒)のみなさんの発する一言一言を受け止めようと努力することだけ。いや、それしかできなかったというのが正直なところです。

思わぬ方向から飛んできた刺激的な問いの数々。その問いがわたしを鍛え、場を鍛えてくれました。同時にわたしを支え、場を支えてくれました。

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師範代の指南と同時通訳の共通項は“問い”にある


本書を手にして、本当に驚きました。校長はすべてお見通しだったんだと。
今、わたしは場と学びをコーディネートする仕事をしています。校長からいただいた言葉、「シャーマンの如き同時通訳のような指南」は、言葉と概念の間をどれくらい移動できるのか、移動し続けることができるのかという永遠の宿題です。

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本寄稿は「久しぶりに先達文庫と向き合ってみなさい」
という天の声だったのかも…と語る久野さん



(文・久野美奈子)