2010.4.22   [レポート]
No.13『神々の国の首都』田中晶子さん

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探究心旺盛な小泉八雲は、その繊細な描写力とイマジネーションによって日本という国の奥行きを浮かび上がらせた。同様にその編集世界の醍醐味をイシス編集学校の指南で発揮したのが、現在、ISIS花伝所所長を務める田中晶子さんだ。

田中 晶子さん 5期[守] 月のかぞえ教室 師範代

(編集工学研究所/東京都葛飾区)

ISIS編集学校略歴:第1期学衆、第5期師範代、第7期師範、11期師範、第8期~10期[守]学匠、第1回~6回ISIS花伝所副所長、第7回~現在 所長


松岡正剛校長から田中晶子さんへの先達文庫
『神々の国の首都』 小泉 八雲
平川祐弘 編 講談社学術文庫

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【内容紹介】1890年、日本を初めて訪れた八雲が、その年の夏から1年余りを過ごした出雲の見聞録。旧い日本と新しい日本が交錯する明治二十年代の風物や風習、人々の姿を鮮やかに描いた作品。


 

八雲のイマジネーションを!


もらった翌日、飲み干すように一気に読みました。8年も前です。記録的に暑かった夏の日曜日、その時は、結構ハイテンションにもなっていて、瑞々しくもたらされるイメージの連続に酔いすぎちゃった気がします。
その後、なぜか再読していませんが、今回パラパラとページを繰っていたら、「詳細な描写力と深く対象をみつめる探究心がもたらすイマジネーション」「英語版、古事記、チェンバレン」、と書いた紙切れが。

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本の間に挟まれた田中さんの直筆メモ

この本には、『神々の国の首都』をはじめ、13の作品が収められていて、いたるところ─たとえば、当時の日本人の顔や声や仕草や、物や音や物語などの描写に 、“神々のうつろう影” が濃淡交え映しだされています。ヒューリスティックな視線が文章と一体化して延々と続き、ドキュメンタリー映画のように緻密に構成されたルポルタージュです。
ハーンの文章には、失われていくものを愛惜するような深い感受性というか、日本に生まれ育った人が持ち得ないようなレセプターが始終動いているように感じました。ハーンのイマジネーションがうつろうところ、たちどころに顕れる神々。

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田中さんの本棚。日本関係の本の並びに『神々の国の首都』がある

2000年6月、イシス編集学校に入門したのは、その前に、たまたま、松岡さんの7時間にもわたる講義を聴講したことがきっかけです。“編集工学”の壮大な構想を初めて耳にして、松岡さんの講義姿にもかなりの衝撃を受けました。
その後、1年1ヶ月も編集愛(!)に包まれて過ごした1期「黎明教室」(太田眞千代師範代)の揺籃と、卒門後に届いた『ラファエル前派の夢』(これも先達文庫です)に導かれるようにして師範代を担当させてもらい、エディターシップあふれる10名の学衆(生徒)の方々と、愉快で深淵な言葉を放つ師範との蜜月の末、いただいたのがこの本です。その扉に書かれていた、「八雲のイマジネーションを!」こそが、その後の私を引っ張っている “お題” なのかもです。
 
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金銀輝く松岡校長のメッセージ


今、ISIS花伝所(編集コーチ養成コース)では、“学び方を学ぶ指南”のための指導法をより進化させることがテーマの1つとなっています。番稽古の鍵と鍵穴を握るのは、類推したり言葉の意味の連鎖をつくり出すイメージングで、これが編集稽古熱を呼ぶ指南の面白さ。セレンディッポの国へと旅立った師範代の活躍は、八雲のイマジネーションの秘密とどこかつながっているのかもしれません。

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ISIS花伝所の所長として未来のコーチを導いている田中さん

 

(文・田中晶子)