2011.4.14   [おしらせ]
本田技術研究所のみなさんの、編集稽古 体験談。

イシスで手に入れた「発想の公式集」をもって、星を探しに。 


イシス編集学校
へ、会社の仲間と参加される方が増えています。

 中でも、株式会社本田技術研究所には、「メンバーの大半がイシス卒門生」という研究室があります。エンジニア、プロダクトデザイナー、プランナーなど本田技術研究所内の各部門から集まって発足した、新設の研究室だそうです。
 今回、そのうちの3名の方に、編集稽古の手応えについて、お話をうかがいました。

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四輪エンジニア、企画出身:主任研究員・マネージャー
青木晋介さん(24期[守]修験ハイジ教室)

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ハイブリッドカー エンジニア出身:主任研究員
瀧澤一晃さん(24期[守]感伝かぶく教室)

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発電機、芝刈り機等のデザイナー出身
加藤雄也さん(23期[守]きときとキャバレー教室)

 

「ぶっちゃけ、相当、役に立つ。」

                       瀧澤さん)

 「研究」というお仕事がら、「手法」「方法」は何らか大切にされている思うのですが、「方法の学校」をどのように体験されたのでしょうか? 本田技術研究所 東京スタジオの隣にあるプレゼンテーションルームで、インタビューのスタートです。

 

  まずは、「編集稽古」をやってみて、いかがでしたか?

●青木さん

 それぞれ技術的なことはやってきていますが、今回の業務に必要な、何か情報を集めて編集して新たな考えを生み出す、というようなことを専門にやってきた人は少ないので、私たちが一からやるつもりで、皆で参加してみました。

●加藤さん

 実際、この1年、話を聞きに行ってまとめるような業務が多かったんです。キーワードを抜き出して整理し、組み立ててから表現に落とすところまで、基本の考え方ができたところは、まず、役立ったような気がします。

 編集学校で学んだことが、デザインのときのモノを見る姿勢のようなところと共通することにも、気づきがありました。ある切り口を見つけ、そこからアイディアを出す、ということはデザインでもやっていることだなぁと。

●瀧澤さん

 僕ははじめ「絶対やるもんか!」って思ってたんですよ(笑)。

 先にやった他のメンバーの様子を見て、言葉遊び的に見えていた。それに、僕はエンジニアあがりで、論文を書いたり、プレゼンしたり、プロジェクト関係者を説得する資料を書いたりということは、そんなに下手じゃないという自負はあったんですよ。

 でも半ば強制的にやってみた結果、いま実際の仕事で、いろんな情報を集めてそこから何か紡ぎ出すという作業をする上で、正直、そうとう役に立っていますね。

 すごく発想法をたくさんもらった。ある意味『公式集』をもらったような気がします。言葉を相手に考えているプロはここまでやるのか、とよくわかりました。理系アタマの人間には新鮮でした。

 例えば、情報を三つ抜き出す(三位一体型モデル)ときに、三つのあいだの緊張関係が同じになるようにするとよい、など、たびたび思い出しては使ってますね、学校での教えを。僕はすごく満足してます。

 仕事をしていてふと、「あ、これはイシスの[守]ベースのやり方をしてる」って気づくことは、確実にありますよ。

 

「僕がデザインでやりたかったのはこれだ。」

加藤さん)

 イシス編集学校で『発想の公式集』を手に入れたという瀧澤さん。実際のお仕事には、どのように結びつけているのでしょうか。ふだん使っている方法と、編集学校で学ぶこと。経験と公式。第一線の方々の「考える仕事の現場」に、少し踏み込んでみました。

  もともとの思考のスタイルとくらべて編集術は違いますか?

●青木さん 

 理科系の人間は目に見えている現象を整理して法則を発見したり、トラブルを発見したりすることをずっとやっています。発見したり、発想するためにやっていて、編集している意識はなかった。でも、これも編集に入るのか、というイメージの転換がありました。「編集工学」という名前が合っていないんじゃないか、むしろ「発想法」だと思いました。

 これまで「新しい言葉や商品を考える」といった企画作業の中で自分がやっていたことが、「これでよかった」と確認できたようなものもあります。経験則だったものが、公式だったとわかるような。

 でも、基本的に、専門的なことばかりやってきているぶん、欠けている部分がたくさんあると思っているんです。「世間の常識はホンダの非常識」と戒めているくらいで(笑)。本来は、もっと全体が俯瞰できていて、その上で「ココ」だけ使うというのが良いと思うんです。[守]をやると、発想のバリエーションが豊富に手に入るので、そういうことが可能になりますね。

 新鮮だったのは、「ないものフィルター」という考え方。「ホンダにないもの」とか、さっそく使いました。けっこう有効です。

●瀧澤さん

 エンジニアはどうしても目の前にある現象しか見ていないですからね。

 そうして、物理屋・機械屋は、「線を見つける」ということをする。点と点の結びつけ方に快感を感じるようなところがあります。逆に化学系の人は、何にもないところにポッと出てくる「点を見つける」のがうまいんだと思いますね。

●加藤さん

 僕は、途中のお題で読んだ松岡校長の文章でとても印象深かったことがあります。ほんとうは「想い」を伝えたいのに、単に情報圧縮すると無機質になるだけで伝わらない、そこをなんとかしたいというのが「編集工学」の始まりだった、というお話です。

 「自分がデザインでやりたいのは、これだったんだ」と思いました。デザインするときも、いわば「想い」を残すためにいろんな要素をいじっていくわけです。編集学校では、言葉が持っている情報がどういうものかをよくつかんで、方法を駆使して、「想い」を残す、あるいは取り出す稽古をしているんだと思いました。

 この発見があったので、[守]を終えたあとは、いったんデザインや絵を描く中でこのことを確かめたいと思って、半年間稽古は休みました。その後、この春、次の[破]に進みましたが、これからもトレーニングしていこうと思います。

 

「皆でワクワク向かう、

                そんな星を探したい。」
                                   (青木さん)

 編集稽古で、新しい方法を知るばかりでなく、自分がやっていることに深く通底する編集的な意味への理解も進んだというお三方。これからどんなことを目指すのでしょうか。

  ところで、編集学校での仕組みはどうでしたか?

●青木さん

 はじめはリアルの方がいいと思ったのですが、でもやってみたらネットで良かった。でなきゃとっくに退学してる(笑)。出張も多いので、好きな時間にできるっていうのが大きいです。あと、楽しすぎて勉強を忘れて楽しんでしまったところもありますね。

●加藤さん

 教室内で「この人はすごい!」って思える人が何人かいるんですね。その人がわかってくれていたからオッケーって思って続けられたところもありましたね。教室でやるってこういうことも良いなって思いました。

  研究室の中でも、編集術を取り入れた交わし合いなど起こっているのでしょうか?

●瀧澤さん

 稽古中は、お互いに気恥ずかしさがあって、稽古が遅れると他の人の様子をちょっと聞きにいってつかの間安心したりしている、という程度でした。

 でも、いまの仕事をクロス・チームで、プロジェクト型で進めていく上では、結果的に適宜学んできた方法を取り入れている、というところが出てきています。「なんか、だんだんイシスっぽくなってきたね」といった調子です。

●青木さん

 商品を作ったりそのために研究を重ねるということは、「星を探す」ことではないかと思っています。「星」は、皆がワクワクできたり、そこに必死に向かっていきたくなる何か。そのプロセスを考えること、また、深く、高い「星」を掲げること。これがやりたいことであり、まさに編集的なことだと思います。


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 六本木の高層ビルにいることを忘れるほどざっくばらんな雰囲気の中、エンジニアリングやデザインと編集の関係を巡って方法が交差する3人のお話に、あっという間の1時間でした。本気の遊びを尽くして型をつかむ編集稽古とみなさんのお仕事ぶりに通じるものがあるのかもしれません。ありがとうございました。

(イシス編集学校 学林局 佐々木/梅村)