2014.3.30   [レポート]
≪校長校話≫「方法の瀬を渉る」

「日本する」とは?

§「日本する」ためには明治時代からもう一度全体を考え直すことが必要だが、これは大変な作業だ。

§その中で方法というもの、何かを創り上げるとか、アライアンスする、クリエイティブになる、身を翻す、価値を見いだす、分母を変える、物語を作る。

§サブジェクトとしての歌舞伎やお茶、少女コミック、ガングロではなくて、そこに共通するものを探るスキル、ヒューリスティックな目をもってほしい。

§今日は、そのことについて、二年間連載してきた「百辞百物百景」を使ってヒントを出したいと思う。

 

編集は一滴のしずくから

 

§われわれは一滴のしずく。編集は一滴のしずくから始まる。

 

【滴】

§大きなテーマをもたなければいけないわけではない。そこにさしかかった一滴からスタートする。

 

【つゆ】

§スタートを切りさえすればどこから出た一滴なのかがわかる。

§葉は茎に、根っこに、土に、地球につながる。

§この一滴のつゆの中にすべてのものがある。いろんなものが一滴ずつ落ち、それがずっと続いている。それは「編集する、日本する」にも関係している。

§その中に潜んでいるものを感じて欲しい。

――最初の守のお題のスタートに立ったとき、一滴のしずくが飛んできた、という感じがしたと思う。それ以上の何ものでもないものにしたい。それが願い。そこにすべての始まりがある。

 

【水分(みくまり)】

§その奥には必ず、水分(みくまり)がある。水源地がある。

§日本の神には水の神が多い。たとえば、竜神、河童、水滝不動など。

§ライン、ハドソン、ボルガなどと違い、小さな列島だから短い距離であっという間に海に流れる。そこに一万年暮らしてきた。

§その水分が見えれば、「私たちはこの水をもらっている、ここに私たちがいる、これを守ろう、鎮守しよう」というのが「里山のモデル」になる。

いったんローカライズする

 

【鎮守】

§里山が「日本する」ひとつの単位。これが編集の手立て。

§一滴のしずくからのつながりを簡単にグローバライズせず、ローカライズさせ、いったん鎮守するものを結界する。

 

【結界】

§我々の教室も一滴から始まる。それなりの鎮守や結界がある。

§結界すると外部が見える。

§編集はインサイド、アウトサイドを繰り返す。まず、その外になったものを寄せなければならない。寄せということが非常に重要。

 

【寄】

§寄せてくる神々。日本に来た人たち。もっとコモディティに言えば日本に来た商品。これをもう少し大事にしてみる。

§最初に結界の外から寄せ、よろずやを作ることが重要。

 

【吹寄】

§寄せていくと吹きだまってくる。「モーラの神々」。

§ファーイーストだから仏教、儒教、道教、琵琶、朝顔、活版印刷、投擲など、吹き寄せ状態になる。

§その吹き寄せ状態、これから来るものをなんとかして選択、セグメンテーション、パターンランゲージを発見しなくてはいけない。それを日本では「縁起」という。

 

【将来】【縁起】【かつぎ】

§来るものをセグメント(将来)し、縁を見出す。縁起が見えたら担ぐ。ドメインを作る。

 

【まねき】

§いったん「縁起」されたもののレパートリーを作る。プロジェクト。広報する。看板する。招く。

§すでに水分(みくまり)がわかっている、ギャザリングは終わっている。

――守、破という看板で「松岡」の水分からみんなキャラクタライズを起す。それをアワセ、カサネ、キソイ、ソロイという。

 

【あわせ】

§吹き寄せ、招いたものをもう一度アワセ直す。アワセたものは取り出せる。

§コンピュータのようにビッグデータを最初からアワセているわけではない。吹き寄せられて招いた状態から、それを合わせるのが重要。

 

【梅に鶯】

§アワセを取り出すのがミメロギア。比較でもある。「縁起」を活かし、「アワセて」「番(つがい)」にしていく。こういうやりかたがどこかでわからなくなった。

 

【番(つがい)】

§番には何かアイダをつないでいるものがある。

§番が見えなくなったのは、鍵と鍵穴がずれたから。それが、公家、武家、鎖国、日清戦争、原爆などを経て正確な番ができなくなった。日米同盟以外の大きな番がなくなったが、やむを得ずあったもので、本来違うものかもしれない。

 

【鉤(かぎ)】

§もう一度、カギとカギ穴の「鉤」を探す。

§今の時代は鉤を探してからそれを差し込むものを探す。それをイノベーションと呼びたい。

§その新しいイノベーティブな分母、あるいは鍵穴にあたるものに「編集する、日本する」を考えたい。例えば「桝」。

 

【桝】

§桝は非連続。BS、PL、高騰暴落する株価のように連続し繰り返すものではない。

§鍵穴、分母のサイズや持ち味や個性を独特にする。それが本、ブックウェアだと思っている。もし、こういうものが作れないならば、類型的、普遍的なものをたくさんもつ必要がある。例えば「ツボ」。

 

【ツボ】

§幾何学上、最大容量を持てるもの。

§それをいろいろなものが入る壷にいったん入れる。

 

【能力】

§その「ツボ」から引き出し、「桝」(インターフェース)に入れなおすときの才能が必要。

§それが編集力。才とは一滴にあるオブジェクト、能はサブジェクト、その日本的才能を取り出せる道具が編集工学だ。

もともともっていたものと照らし合わせる

 

§「日本する」ツールでつくれたら、この方法が欧米のサイズと合い、うまくいくのか確認、比較検討する。

§いろいろな違いから、かつて私たちの民族が選び決断しようとしていたアウラ、テイスト、ニュアンスを考える。

 

【籤と運】【うらない まじない】

§いずれ迷って神頼みしたい気持ちになったとき、私たちがもともともっているもの、籤、運、セレンディップなもの。それを排除しないであらかじめ勘定にいれておく。それがヨーロッパと私たちの違い。

 

【罰】

§「バツ」と読めば、ユダヤ・キリスト教。日本では「バチ」と読む。

§日本において、「バツ」と「バチ」。両方を取り戻さないと全部コンプライアンスになる。思いのたけができなくなる。

§「小さな形而上学をもつ」(デュピュイ)、災害など大きなものに対して、私たちはバツと共にバチをもつことが必要。

 

【寸志】【無盡】

§今までどうでもいいと思っていたこと。例えば寸志。例えば、無盡。助け合い。

§最も小さくなった時の普遍性が、贈与と互酬、他者性の基本。

 

【両替】

§自転車のおっちゃんが空き缶などを拾って鉄屑工場に行ってなにがしかのお金に換える。ほんとに僅かなもの。

§しかし一方ではごみをきれいにするという別のものがあって、それは「両替行為」ではなく「ボランティア」になる。何かがおかしい。

 

【異人さん】

§ストレンジャー、変人、異人に学ぶこと。

§肖るものがない時に、人は人を陵辱する。

§肖ってみることが大事で、根本的な「模倣の哲学」。

【客神(まれびと)】

§ストレンジネスに肖る。これが客神。これが日本に一番足りない。

§ユダヤ・キリストの「主」と違い、日本にはかつて大勢の神々がやってきて、客神がいて、我々はそれを編集してきた。それを忘れている。それを思い出させるものの1つが門付。

 

【門付】

§門付をもらってお布施をする。寸志はお金にかえられない。

§まったくお金にかえられない価値。貯金できないもの。「お金にかえられないもの」をやり続ける。そこに編集の作法がある。しかし、そこがシステムとしてなりたっていない。

――教室名や色紙が校長にとっての「門付」。

 

価値を託す

 

【鐸(さなぎ)】

§価値を何に託したのか。

§鐸は、そもそもはシベリアシャーマンのもっていた道具。わけのわからないもの、その「わからないまま」の価値。けれど身につけている。

§これがかつてから「日本する」の原点にあったもの。そういうものを「代」と言った。

 

【代】

§本体は価値のわからないもの。でもとりあえず「代」を置く。

§まず稲で代をおく。

 

【ミノリとイノリ】

§「ミノリとイノリ」の一年間を伴った苗代。その間、何か預けるものをつくる。依り代。

――編集学校の卒門、突破。その間、師範代に預けている。

 

【市庭】

§そして、たまったものを「市庭」に出せるようになる。

§庭は日本にとって一番重要なもの。

§神庭(神の庭)。斎(いつき)の庭(司法の庭)。市場(マーケット)。3つがある。

§市庭のようなものを持ちながら、新たな店を出す。

 

【見世】【見世物小屋】

§見世は、世の中を見る、世間を認知する。

§そこにはいろいろな個性があっていい。しかし自分が見世物小屋になる覚悟がいる。

禍々しいものも重視する

 

【地震(なゐ)】

§一方「日本する、編集する」は、ヨーロッパとの違いを編集することとは別に、世界中が被らなければならないクラッシュ、災害、フラジリティから取り組む。

§これをキャラクタライズしたもの。禍々しいものも重視する。

 

【鬼】

§地震のようなものは必ず来る。その奥にあるものを「鬼」と呼ぶ。

§「鬼」とともに「客神」や「イノリ・ミノリ」があることを知る必要がある。

 

【喪殯(もがり)】

§そして、人が亡くなったり、病んだ時に、思いを込めた喪殯をしなければならない。

§喪、殯。病んだ者に対して衷哀の精神をもつのが下手になっている。

 

【天狗】

§「天狗」は「鬼」には見えないが、生意気だけどおもしろいやつ。普通は会社でも上手くいかない。

§神と仏、ミノリとイノリ、鬼と天狗をすべて「日本する、編集する」にしていく。

「一滴」に戻る

 

§鬼など異常、過剰なものを入れるために、意識や美意識をどうしたらいいか。

§もういちど一滴のしずくに戻る。そのとき、日本の美意識が開花する。

§わび、さび、引き算。

 

【冷えさび】

§その究極が冷えさび。

§何もない枯れ木のようなものに価値の始まりがある。一滴のしずくがそのまま凍えてしまった。そこに二度目、三度目の美意識の価値観を持てればいい。

§その時にしなければならないことが供養。

 

【供養】

§何かに供養できるものをもつ。

§何かを供養したい。心として供養したいと思う。

§何かに供養したいと思っていないと自分の成功に「バチ」があたる。

§心として供養できるものを持っていたい。そういう人に支えられていることが多い。このようになることが「瀬戸際」。

 

【瀬戸際】

§自分たちがそこまでもってこないといけない。

§あとはバーチャルランド、幻想的な価値でもいい。

§まさにそこは私たちのthereというものが価値観をもっている。

§誰がthereの価値をもたらしたかを忘れてはいけない。「案内」が必要。

 

【月夜見】【案山子】

§案内人は功をなしてもまだ挑もうとしている人。われわれは案内人に供養していない。

§正体不明なものを、供養とともに思い出しリスペクトする。

§リスペクト。アプリシエイションを持つ。導きを確信する。

§決めたら断固生涯擁護する。

――ここまで僕がこられたのは、そういう人をリスペクトしてやれといわれたことを全部やってきた。つぶやきをひきとっていく。仕えていく。

 

【サムライ】【棟梁】

§それを「さぶろうもの」サムライと言った。小さなリーダーになるという意味。

§それを棟梁という。もう一度、「編集する、日本する」リーダーは「棟梁」であってほしい。

 

【のれん】

§そうすると、そこに「のれん」があがる。守・破のように。

 

【纏う】

§のれんを持てば纏うことが絶対必要。

§いざというとき纏わないとダメ。それは「のれん」であり「苗代」であるから。

 

【契り】

§こうして「日本する、編集する」が一滴の契りになる。

§契約社会とは別のもの。契るということはなんなのか?

 

グローバルスタンダードと「日本する」を一致させるために

 

【面影】

§そのために面影をもちたい。

§心の中に見えなくても心の中にもつもの。

§その面影をつなぎたい。互いの面影をもってほしい。