[コース] ISIS花伝所OBI-1 │ 輪読座 │
輪読座

 

 編集工学研究所フェロー 高橋秀元が、輪読と図象ワークに
よって読書を促進する輪読座を開催しています。

 近年、読書が推奨されていますが、読みたくても読めない本があります。そのような難読といわれる日本の古典を中心に、輪読師である高橋のナビゲーションのもと輪読をします。

 予習や前提知識も必要ありません。図象(ずしょう)と呼ぶ高橋が構成した“概念曼荼羅”を介し、お互いに声を出しながら輪読する事で解読力が自然とついていきます。

 2014年秋開講の『伊勢物語』からスタートした「サテライト輪読座」。 全6回にわたる講座を動画共有サイトで生中継し、テキストで輪読座の進行を共有しながらサテライト参加者からのワーク・コメント・質問等を交えて進行。 各回の資料や課題共有はリアルの参加者と同じくWEB上のラウンジで行います。
  ぜひ、遠方の方や時間の調整が難しい方のご参加も、お待ちしております。


これまでの輪読座



バジラ高橋

高橋秀元

松岡正剛と共に工作舎を立ち上げ、オブジェマガジン『遊』を世に送り出してきたコアメンバーの一人。
日本の神々について独特の解読を進め、観念の技術をめぐり執筆を続ける一方、出版や日本文化・観光・都市の研究、地域振興や文化施設などのプランに携わる。
イシス編集学校で密教のヴァジラ(金剛杵)を冠した教室を開いたことから、「バジラ・タカハシ」が仇名になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 輪読座・日本哲学史シリーズ第一弾
        「聖徳太子と日本唯識を読む」のご案内




古代日本哲学(1)
倭国の心から日本の心へ「聖徳太子と日本の唯識を読む」

 井筒俊彦は戦後日本を脱出し、イスラム神秘哲学を中核にインド・中国・西洋の世界の哲学を総検討して、未来の世界人の哲学の行方に一石を投じようとしました。そこに日本の哲学的考察を施そうとしていたようですが、それは必ずしも深まっていなかった。日本も井筒俊彦が言う西洋文化普遍者の天下となっている現在、その本質を世界に寄与できるように、新たな誤読もいとわず、現代的な編集を敢行する時期が訪れているかのようです。ラーメンやスシだの、マンガやコスプレだの、カワイイだのとクールジャパンするのに飽きが来る日も近いでしょう。
 そこで世界の哲学を参照しながら、日本思想(イデオロギー)を哲学(フィロソフィア)に読み替えていく必要があると思われます。それには日本の本来を編集した書物をイデオロギーや常識にまみれた既存の解説や注釈を排除して、素直に読んでいくことが必要でしょう。
 その第一回の実験的な読書を、倭国から日本への転換期に現れた最初の哲学、聖徳太子の苦悩、天武朝・藤原不比等が採用した法相宗(日本の唯識哲学)に定めてみたい。それまで地域独立政権の連合体が日本という統一国家となっていくことに対して、どのような“日本人の心”を醸成しなくてはならなかった。これは、意識的にせよ、無意識的にせよ、現在の日本人の言動に深く影響しています。 ただ西洋思考が頭脳を占めていれば、それを語ることができなくなっているだけです。バジラ高橋は、かねてから倫理の学習の冒頭に毒杯をあおいだソクラテスだの、パンクラティオンでムキムキになったプラトンだのをもってくるのはナンセンスと言ってきました。聖徳太子こそ、日本の倫理の創始者でした。続いて玄奘三蔵が東アジアにもたらした高度な唯識の心のメカニズムを基盤に日本人の心を形成しようとしました。次々回には、南都六宗の龍樹の「空」の理解(三論衆の哲学)、聖武天皇が採用した華厳宇宙の社会システムの応用に進みたく思います。 日本人は日本人になるために採用し編集した世界像を、日本を訪れる誰にでも語り出すことができるほどに、輪読できるかどうか。この一月に一度の読書実験に、どうぞ勇気をもってご参加くださいませ。


         「聖徳太子と日本の唯識を読む」のプログラム


聖徳太子を読む(第1回・第2回・第3回)

①『上宮聖徳法王帝説』

 かつて写本されたことがなく、「天下の孤本」と称された。編集者は9世紀の法隆寺ゆかりの僧侶であったらしく、蘇我氏滅亡に消滅した聖徳太子の事跡を、伝承を集めて再構築し書き残した。太子を厩戸豊聰耳聖徳法王(うまやどのとよさとみみしょうとくほうおう)と称している。法隆寺に秘蔵されていたが、明治維新期に知恩院に移され原本は国宝に指定されている。家永三郎が5部に再編して岩波書店から刊行。

蘇我入鹿に攻め滅ぼされた上宮王家の一族が法隆寺の塔の彼方に昇天
 1部は聖徳太子の系図、5部は仏教伝来の欽明天皇から推古天皇までの年代を論じ、日本書記の記述との相違が学術的関心を呼んでいるが、これらは省いて2部を中心に読み、3・4部を拾い読むこととする。2部は聖徳法皇の活動・事跡、官位十二階の制定などを総覧している。3部は法隆寺の御物の銘文を集め、今は端切れとなった「天寿国曼荼羅繻帳」の銘文などを収録、3部は断片的な聖徳太子関連の事件、十七条憲法や蘇我入鹿事件の年代を考証しようとしているが、とくに百済の聖王からの仏教公伝まで、聖徳太子の子孫が皆殺しにされた山代大兄皇子をはじめとする上宮王家事件をあつかっている。


②『勝鬘経義疏』(しょうまんきょうぎそ)乱


勝鬘経講讃御影:勝鬘経を講義する聖徳太子 敦煌の壁画に描かれた勝鬘夫人

 聖徳太子は611年に『勝鬘経義疏』、613年に『維摩経義疏』、615年に『法華義疏』、すなわち三教義疏を著して、統一倭国の思想の三本柱としようとした。「義」はこれまでインド・中国で行われてきた議論・解釈を総覧すること、「疏」は字句の解読によって読めるようにすること、これらを総合して内容を独自に把握するのが「論」。『勝鬘経義疏』は『勝鬘経』という仏教経典を読はむための手引書であった。
 「勝鬘」は髪飾りが美しい王妃、『勝鬘経』はシュリーマーラーの物語。シュリーマーラーはインド十六王国のコーサラ国のプラセーナジット王(波斯匿王:はしのくおう)とマッリカー夫人(末利夫人)の間に生まれた姫。実妹のコーサラ・デーヴィー姫はマガダ王ビンビサーラに嫁いでコーサラ・マガダの和平を保った。マガダ王ビンビサーラは竹林精舎、コーサラ太子ジェーダは祇園精舎をシャカに寄進し、シャカは両国を往来して仏教を布教した。 シュリーマーラーはコーサラ国の北西、今のデリーの北に展開したバラモンの王国、アヨーディヤーの国王に嫁いだ。コーサラ王と王妃は娘のシュリーマーラー王妃に、シャカの教えを手紙で伝え、仏教に帰依するよう勧めた。この手紙を読んで、シュリーマーラー王妃はたちまち悟り、十大受(十の誓い)・三大願を発した。

聖徳太子が『勝鬘経』を講義した摂津の勝鬘院(現愛染堂・元四天王寺施薬院)の勝鬘夫人像
 何ゆえに、聖徳太子はバラモン教の辺境国にあって、シャカの教えを記した手紙で悟った王妃の物語を最重要視し、『維摩経義疏』、『法華義疏』とともに新たに出現した統一倭国の民の心の支柱としようとしたのか? 輪読に参加した皆さんの推理やいかに?


③『憲法十七条』

 「憲法」は聖徳太子が造語した和製漢語である。「日本人は、和を尊ぶ」なんてマッカなウソであることは、聖徳太子の生涯、その子孫の虐殺を一見すれば明らかであろう。倭国は地方の独立政権の連合体であって、動乱が耐えなかった。これを百済の仏教を用いて統合を試みたのが蘇我一族であった。しかし蘇我一族も政権維持のためにたびたびテロ行為を行って、天皇殺害もいとわなかった。
 こうした中で、聖徳太子は「憲法十七条」を発布した。そこの「和」は、中国の隋に興った最新仏教・百済や高句麗仏教を検討し、道教・儒教のアジアの知恵を結集し、さらに日本の伝統的な神信仰を基盤とする民衆の道徳を動員して工夫されている。「憲法」の意義とともに、「和」の本来を探りたい。


三蔵法師から伝わった日本唯識を読む(第4回・第5回・第6回)

①日本法相初祖・道昭の冒険譚(日本霊異記より)

 道昭(629~700)は河内の国際貿易や通訳に関わった船連(ふねのむらじ)が輩出した俊才である。白雉4年(653)、新羅と同盟した唐と百済と同盟した倭国の関係が急速に悪化し、斉明女帝は唐との講和のために遣唐使を派遣した。その通辞として道昭は唐に渡った。唐はこの遣唐使を受け入れず追い返した。道昭は遣唐船を脱出し、不法に唐を横断して長安の大慈恩寺に訳経していた玄奘三蔵の懐に飛び込んだ。玄奘は命がけで訪れた道昭を可愛がり、その高弟であった基(き)とともに中国の法相宗の形成に寄与した。
 白村江の戦いの前夜、600年ころ、危険を冒して日本に帰国。玄奘の唯識を中核とする新訳仏典をもたらした。白村江の敗戦後の倭国の外交に寄与し、さらに壬申の乱後の疲弊した民衆を組織したボランティアを展開。天武天皇は道昭の法相宗を尊び、河内の船氏の領内に往生院を建立。道昭はこれを根拠地に疲弊した国土回復に住民を巻き込んだ土木事業のための遊行に明け暮れた。最晩年に薬師寺を開基し、国際的に通用する僧侶を育成し、多くの法相の僧が唐に渡って最新の知識をもたらし続けた。最晩年の弟子、行基が道昭のボランティア精神を受け継いだ。

(左)道昭が最後に開基した薬師寺 (右)玄奘三蔵と大慈恩寺の大雁塔


② 護命『大乗法相研神章』(国訳一切経・諸宗部より)

 護命(750~)は美濃の秦氏出身の僧。日本の法相教学の大成者。17才で得度し元興寺の勝虞に仕えたが、教説にあきたらず、1月の前半は吉野の深山に入って虚空蔵法を修し、後半は元興寺で唯識学の研鑽を積んだ。若き空海が護命に憧れて山中に虚空蔵法の指導を受けた。大僧都となった護命は、819年、最澄の大乗戒壇設立構想への反対を上表。唯識学では阿頼耶識を認め、天台宗の第9識とされた純粋精神というべき阿摩羅識を仏教の異端としていた。81才にして、その宗旨を示したのが『大乗法相研神章』であった。
 今や玄奘三蔵がアジアにもたらした唯識論を知るものは、特殊なアカデミシャンでしかない。にもかかわらず、それは日本人の精神の一部として表出されつづけている。東アジアの唯識をとらえるには、もはや『大乗法相研神章』を読むしかなくなっている。それはいかなる精神世界であったのか? この輪読に加わった皆さんこそが、21世紀の最初の唯識論を知る日本人となられることでしょう。

護命は役行者・良弁・行基らとともに吉野金峰山修験の開祖とされる                  —————輪読師・高橋秀元





輪読座・参加者の声


輪読座でなければまず一人で読むことがない書籍ですよね。
図像含め横へ広がる話がとても刺激的です。
手の付けにくい本でもみんなで読むと読めてしまう。
これは予想以上に面白く続けたいです。
図像ワークもチームでやるので、コツが少しずつわかるようになり、理解が進みました(教えてもらえます)。
読みを深め、内容をイメージすることが、この場に参加しなければ絶対できなかったと思います。

募集要項

講座名 輪読座
日本哲学シリーズ第一弾「聖徳太子と日本唯識を読む」
日時  2015/10/25 (日) 13:00~18:00
 2015/11/29 (日) 13:00~18:00
 2015/12/27 (日) 13:00~18:00
 2016/ 1/31 (日) 13:00~18:00
 2016/ 2/21 (日) 13:00~18:00
 2016/ 3/27 (日) 13:00~18:00 (終了後、修了証書授与・懇親会)
場所 編集工学研究所 世田谷区赤堤2-15-3
1Fブックサロンスペース「本楼」
定員 限定30名 ※定員になり次第、締め切らせていただきます。
申込

◎リアル講座:6回分 税込価格 54,000円(本体価格 50,000円)
     ※クレジットカードがご利用になれます。(分割払い可能)
     ※記録映像データ、資料などは欠席された場合、お渡しいたします。

申込み

 

◎サテライト講座:6回分 税込価格 32,400円(本体価格 30,000円)
         
※クレジットカードがご利用になれます。(分割払い可能)

申込み

お問い合わせ先 03-5301-2213(直通)
front_es@eel.co.jp
受付時間 AM10:00~PM6:00

[コース] ISIS花伝所本腰祭 │ 輪読座 │



学校案内   コース一覧   学びのしくみ   受講生の声   体験講座   ISISネットワーク
             

本サイトのご利用について | 特定商取引法に基づく表示 | 会社概要 | プライバシーポリシー
copyright: Editorial Engineering Laboratory. All rights Reserved.