レンズなどの精密なガラス製品を磨くのに欠かせない、「レアアース」と
呼ばれる貴重な金属の輸出規制を中国が打ち出して、日本のハイテク産業
の生産活動に影響しかねないという懸念が強まるなか、入手しやすい別の
金属を使う技術が開発され、大きな注目を集めそうです。
「レアアース 別の金属使う技術 」 9月17日 4時14分 NHKニュース
http://www.unkar.org/read/kamome.2ch.net/newsplus/1284674655
情報化時代とは有難いもので、NHKニュースも文字化して読める。
引用も不確かな記憶に頼ることなく、そのまま提供できるのが有難い。
私はこれを6時のニュースで聞いていた。話し手はアナウンサーではなく、
放送記者である。画像では立命館大学の研究室が流されていた。
私は最後の言葉が気になった。「・・大きな注目を集めそうです」
私は「NHKよ・・そこまで言うのか」と思った。
「注目が集まっています」「注目を集めています」
「注目」という言葉が、このように使われてもう10年ほど経つだろうか。
放送・活字メディアに順次広がり、NHKもほどなく使いだした。私は
この間、この言葉遣いにずっとひっかかりを感じてきた。
昭和30(1955)年を挟んで、小中高時代を過ごした私にとって「注目」とは
先生の号令なのだ。校庭での朝礼や集会で、朝礼台の教師は騒がしい生徒
達をたしなめて「注目!」と大声で叫んだものだ。
小学生時代「注目は、注目される、注目を浴びる、注目の的というように
使って、注目が集まる、とは使わない。間違いです」と学習したことを、
私は今でもはっきり覚えている。
言葉は時代が変われば意味も変わるし用法も変わる。だから、ことさら
「注目が集まっています」などの用法に異を唱えずやってきたが、今回の
「・・大きな注目を集めそうです」に私はガマンできない。
こんな変な言葉がこれから横行するのかと思うと、将来の日本語にとても
心細い思いがするのだ。「各方面から強い関心を寄せられそうです」でいい
ではないか。「関心」がいやなら「広く各界から注目(注視)されそうです」
でもいい。
「広辞苑」では語彙の掲載について、言葉が日本人の生活に溶け込み、
日本語として独り歩きを始めたのを見極めてから掲載する、と聞いたが、
「広辞苑」(6版・2008年1月刊)には「注目が集まっています」は未だ
出ていない。
ところで冒頭にあげたNHKのニュースは1センテンスで字数は125字
である。一例であるにしても、一つの文章としては異常に長い。それとも
テレビのニュースでは、これ位は普通なのか。もしそうなら、NHKの
アナウンサーが正しい日本語を話すという神話はラジオ時代のことか。
テレビでは話に画像がつくから、視聴者もさほど苦にならず、話を聞い
てられるが、仮にラジオなどでこのニュースを流すと、聞き手はどれほど
理解できるだろう。
私は今回のニュースで二つのことが非常に気になっている。
映像メディアと活字メディアのことで、今更ながらなのだが・・。
一つは、大小のニュースで、新聞などは書き方スタイルで古典的な、5W1H
とかを準拠して書くのだろうが、テレビではまず画像を要求するはずだ。
ニュースには画の無いものだってたまにはあるだろう。画の無いニュース
の扱いは、制限されたものになるのだろうか。
二つ目は話し言葉と書き言葉の違いである。
冒頭の文章、新聞ならもっと読みやすく書くはずだ。
新聞の文字は大きくなって現在1行13文字なので125字は10行である。
だから125字は平均の3倍くらいの長さだろう。
テレビの言葉は話し言葉であり画像がつくから、私たちから想像力を奪い、
人が持つべき言葉の力を弱める。外国語は知らないが、日本語の話し言葉
と書き言葉の2重構造というべきか、冒頭の文章などを読むとまだまだ
日本語は発展途上だな、と思う。
はるか明治の時代に、言文一致と叫ばれ、漱石や鴎外、子規らが苦労して
日本語の土台を築いてくれた。当時の言文一致と、現在のそれが違うにし
ても、話し言葉と書き言葉の間に、もう少し強く響き合う、或いは交わる
接点が有っていいはずなのだが。
昨今は携帯メールや携帯小説、はたまたツイッタ−とか、私などには分か
らないことも多いが、固有文化の担い手としての言葉の力を弱めること
なく、どんどん強くして次世代に引き継ぎたいと思う。
(最近尖閣諸島付近で中国の漁船と海上保安庁の接触事件があり、船長の
勾留の間、中国がレアアースの輸出を止めたと報道されたが、NHKの
ニュースは、それ以前の9月17日のニュースで尖閣問題とは関係ない。
また、当初NHKのニュースをNHKからリンクできたが、期間が過ぎて
消えたので他の所からニュースをリンクした。) |